第一 『ひらめく智慧』

 いつのまにか、コンピューターが世界中を完全にコントロールするようになってしまった。ものごとを記憶することにおいても整理することにおいても、通常の人間の能力を遥かに超えたものを持っているというのだからかなわない気がする。しかし、そんな超便利な器具を扱い使いこなすのは、結局はやはり人間の智慧であり、しか『ひらめきの智慧』であることをいささかも疑ってはならない。創造者はいまだに人間以上の存在を創造されていないのだから、必要以上に警戒したり、過剰な反応を示すことはない。ただ、私たちが求める『ひらめきの智慧』がどのような状況の中で、具体的にどのような条件のもとで発生するかを見極めることは、最も重要なことであると私は考え思う。人間性の内外の側面において、社会的変化に対応して急激に変貌する外面的人間性に対して、その速さについていけない内面的人間性との『ひずみ』が、しばしば社会的事件の遠因にあると言われる以上、『ひらめきの智慧』の役割は更に大きく広い。